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ドラマ…認知症になったら遺言は



「遺言能力と不動産取引意思能力…相続税対策は認知症の進行前に!」

遺言無効の裁判


平成11年…ある信託銀行の行員が、「遺言書」の作成を希望する、80歳のAさん宅を訪問します。遺言は、〈多数の不動産を4人の相続人に分配する〉‥という内容でした。

銀行員は、Aさんの意向を聞き取ったメモをもとに、公証人に遺言作成を依頼します。そして、遺言書の原稿を公証人と共にAさんに見せ、内容を読み聞かせました。

こうして…内容を確認してから、Aさんが自署して実印を押したのです。
しかし、《この遺言》による取得財産が少なかった相続人が、〈遺言は無効である〉と訴えたのです。

無効判決の理由

Aさんは…遺言を作成する2年前から、「認知症」が進行していました。年月を判断できず、自分の年齢や子供の数が分からず、嫁と孫を判別できなかったのです。

この状況では…多数の不動産を4人の子に区別して分けるのは、困難です。項目ごとに区分して遺言執行人を二人に分けることも、執行人の一人である信託銀行の報酬を決めることも不可能です。

裁判所は…〈Aさんには『遺言能力』が無かったので、《この遺言》は無効である〉‥という判決を下しました。
(横浜地裁・平成18年7月21日)

遺言能力

この信託銀行は…平成8年にも「公正証書遺言」を作成していました。その翌年には、税理士を執行人とする、別の「公正証書遺言」が作成されています。そして、更にその次が《この遺言》だったのです。幾多の争いがあったのでしょうね。

当時は、〈信託銀行と公証人の受託なら、多少の認知症でも大丈夫〉‥と、考えられたのでしょう。しかし《この遺言》は、「認知症」が進行した状況で作成され、無効になりました。認知症が進んでしまってからでは、遅いのです。

遺言無効の裁判例は、数多くあります。裁判では…遺言者の生活および精神状態や担当医の診断など、遺言作成時の状況によって、遺言能力の有無が判断されます。遺言の難易度も、判定材料になります。

成年後見制度

遺言以外の相続税対策として、土地処分やアパート建築があります。これらも、認知症が進んでしまうと困難です。

法的に『無能力者』と判断される人と、不動産取引はできません。法律行為が不可能な相手と取引したら、後で『無効』とされかねません。

「被相続人(相続される人)」に「認知症」の兆候があるなら…『成年後見制度』で、「成年後見人」をたてるのが良いでしょう。「成年後見人」は、財産処分についての代理権があるので、取引相手のリスクはなくなります。しかし…。

成年後見人の重刑

Bさんの「成年後見人」に、その「甥」が指名されました。ところがこの「甥」は、管理財産から26回にわたって計1,800万円を横領して、自分の借金返済に充当したのです。

家庭裁判所は、後任の「成年後見人」を選任して、「甥」を刑事告発します。「甥」は、『業務上横領罪』として、懲役2年の実刑になりました。

本来…親族間の窃盗の場合には、被害にあった本人からの訴えがなければ、罪を問えません。しかし、『成年後見制度』においては、その定めは適用されないのです。
(仙台高裁秋田支部・平成19年1月16日)

誰のための相続税対策

相続税対策によって、税金が少なくなるのは「相続人」です。相続税対策とは、「被相続人」でなく、「相続人」のために行うものです。つまり、『成年後見制度』とは、「相続人」のための相続税対策なのです。

家庭裁判所が「被相続人」の後見人を選任し、監督して不動産取引をさせるのは、「相続人」の相続税対策の《手伝い》をするようなもの。裁判所も、〈裁判所が節税を手助けする必要はないのでは〉‥と、考えるでしょう。

不動産処分が生計維持のためなら順当ですが、油断すれば、この「甥」の事例になりねません。裁判所は、《後見人選任》について慎重であり、厳しいようです。

不動産取引を伴う相続税対策も、認知症が進んでからでは、遅いのです。

意思能力の調査

相続開始の直前に、何かしらの相続税対策が行われた場合…それが「被相続人」の意思であったのか、税務調査で厳しく問われます。「被相続人」の意思と無関係に相続税対策商品が購入されれば、〈それは相続人の行為である〉‥として、否認されます。税務署も、難関なのです。

遺言や相続税対策は、「被相続人」が、心身共に元気なうちにするのが良いでしょう。認知症等が進んでしまえば、至極、リスキーです。

相続や不動産や税金のプロが、敢えてそのリスクに挑むなら、それなりの覚悟が必要です。前述の銀行員や公証人は、《針のむしろ》だったことでしょう…。

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