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ドラマ…法定相続人がいない資産家は?



孤独な患者が主治医へ遺贈


ワイドショーや週刊誌で…〈大学病院の医師が、死亡患者の遺産数億円を手に入れた〜〉と、話題になったことがあります。死亡した患者は、68才の女性です。いくつかの不動産を所有し、父親創業の広告会社を経営していました。そして、数年前から脳梗塞を患って、大学病院で死亡したのです。

その患者には…夫も子供も兄弟もいないのですが、「公正証書遺言」を残していました。〈会社の株式や不動産に加え、先祖の墓や祭祀も48歳の主治医に渡す〉という内容です。これを知った患者の従兄弟(いとこ)が、大学病院を告発しました。

マスコミは、〈医師の父親が会社の社長になっている、位牌や仏壇が放置されている〉‥と、様々に報じています。

法定相続人がいないとき…

遺産は、配偶者/子/親/兄弟などの「法定相続人」が受け取ります。しかし、この患者には「法定相続人」がいません。「法定相続人」がいないければ、『遺言』がすべてです。

遺言がない場合…裁判所が『特別縁故者』として、故人の面倒をみた人などに遺産を分けることもあります。「特別縁故者」もなければ、遺産は国庫に帰属することになります。

民法(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三  前条(権利を主張する者がない場合)の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条  前条(特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。




告発者である従兄弟は、「法定相続人」ではありません。ですから、遺産を相続する権利がありません。告発状によると…〈財産やお金は欲しくない、主治医は遺産を病院に寄付して医師の教育に役立てて欲しい〉‥と、願っているようです。

遺言で遺産の行方を決める

「法定相続人」がいない資産家の遺産は、大きな問題です。〈私が死んだら遺産は国のものか〜〉‥と思えばこそ、「遺言書」を作成するのでしょう。

遺言は、自分で遺産の使途を決められます。遺産の受取人をユニセフや赤十字にすれば、世界平和に役立つでしょう。国庫に行けば、公共工事のための一般財源で終わりかねませんが…。

身寄りのない資産家の多くは、宗教法人を受取人にします。帰依すると、永代供養してもらえるかもしれません。遺言によってお世話になった人たちに配分するのも、自由です。前述の死亡患者が、受取人を医師個人ではなく大学病院にしておけば、マスコミ騒ぎにはならなかったでしょう。

一人暮らしの資産家周辺は

この患者の場合、知られていなかったのは「遺言書」の存在でした。しかし、もっと重大な事を周りの人が知らずに、事件に発展する場合もあります。例えば…

死亡後に戸籍を見たら、知らない人が、養子や配偶者になっています。《見知らぬ人》は、お葬式に参列して……さあ、相続ならぬ《争族》の始まり〜
‥など、一人暮らしの資産家には、様々な危険があるようです。

養子や婚姻の届出は、印鑑証明など不要で簡単にできるのです。さらに、その届出の署名が被相続人の自筆であるならば、事態はますます深刻です。

親の相続が心配ならば、定期的に親の戸籍や登記のチェックをすることです。「遺言書」の有無や内容確認は、困難ですが。

公正証書遺言と自筆証書遺言

大学病院で死亡した患者は、本人自ら自筆で書く「自筆証書遺言」ではなく、公証人による「公正証書遺言」を作成しました。「公正証書遺言」では、『遺言執行人』が遺産を整理して、登記手続きなども行います。患者の従兄弟は関係者ではないため、遺言が実行されるまでは内容を知ることができません。

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違いに、《検認の手続き》があります。「自筆証書遺言」では、全ての「相続人」がそろって、家庭裁判所で「遺言書」を開封します。これを、『検認』といいます。家庭裁判所は、「検認」のため、相続人全員に呼び出しの通知を出します。

公正証書遺言は検認不要

例えば、子供がいない夫婦で…〈全財産を妻へ〉と、妻への思いやりに溢れる「遺言書」があります。これが「自筆証書遺言」なら、《相続人全員》に、「遺言書」を見せることが必要です。

裁判所は、「検認」のため…疎遠な夫の兄弟をわざわざ呼び出し、音信不通の前妻の子までも探し出して、通知します。挙句の果てに、余分な心情的争いや「遺留分減殺請求」などが勃発するかもしれません。

妻は…癒されるどころか、心労増大ですね。でも、「遺言書」が「公正証書遺言」なら、「検認」は不要です。疎遠な夫の兄弟や前妻の子に《お知らせ》することなく、相続登記や名義変更ができるのです。
(週刊文春2006.3.30.と週刊新潮2006.3.30.を参考にしました。)
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