(東京家審・昭和33年7月4日家月10巻8号36頁)
(東京家審・昭和33年7月4日家月10巻8号36頁)
「本件相続について,被相続人は相続人中相手方Yに対して生計の資本としてI前記土地が生前贈与せられているので,民法903条によりその価額を相続財産に加算して各相続人の相続分を決定すべきところ,この相続分決定についての遺産評価の時期について,(イ)相続開始当時の時に有した財産及び相続開始前の生前贈与分等について何れも相続開始の当時の価額より計算する。(ロ)何れも分割時の価額によるべきである。(、)民法903条による相続分の計算は何れも相続開始当時の価額により計算しこの相続分の割合により分割対象の遺産を分割時の評価額により分割すべきものとするとの三つの見解が考えられるが,(、、)説によるを相当とする。蓋し(イ)説のように相続開始当時の評価により分割するとすれば,分割当時より現存値上りの著しい遺産を取得したものは非常に有利になるが,そうでない遺産の分割をうけたものは不利になる。次に(ロ)説によれば相続開始後遺産分割迄の間における,未分割遺産に対する各相続人の民法903条により計算される相続分が物価の変動に従って絶えず変動する不合理が生ずる。(、、)説はこの前二者の欠点を補うものである。即ち民法903条にて相続分を計算するについては,すべて相続開始当時の評価額によるものとするが,これにより遺産に対する相続分,即ち相続の割合が確定した上は,その相続分に従って,現在分割時の事情に則して分割の対象となる遺産を分割することになり最も妥当な結論が得られることになるからである。」