(東京高決・昭和51年4月16日判夕347号207頁)
(東京高決・昭和51年4月16日判夕347号207頁)
「強度の神経症のため独身のまま被相続人の庇謹のもとに生活し独立した生計を営むことの困難な相続人である長女に,他の相続人に贈与した土地と区別してl筆の土地を贈与したことは被相続人である父は,その贈与にあたり,黙示の持戻免除の意思を表示したものと推認できる。しかして,この生前贈与につきBに対しては,被相続人が民法903条3項所定の持戻免除の意思を表示した事実を認めるべき証拠が見当らないが,前認定のごとくAが強度の神経症のため独身のまま両親の庇護のもとに生活して来た者であり,その後も社会的活動によって独立した生計を営むことを期待することの困難な心身の状態にあったという状況下で,Bに対する4筆の土地と区別して特に1筆の宅地のみをAに贈与することにした点を考慮に入れれば,父被相続人としてはAに対する右贈与については,その贈与にあたり,相続開始の場合にも持戻計算の対象とすることを免除する意思を少くとも黙示的には表示したものと推認できるところ,この分についても別紙第3目録2記載の相続開始時の価額を後記認定の相続開始時の遺産総額に対比し,同持戻免除によって他の相続人の遺留分を害することにならないものということができる。」